ものや商品を売るのではない

再来店しなくなる理由

飲食店やサービス業で、どんなに美味しいものを作っても、どれだけ満足していただけるサービスをしても、お客は離れていきます。他店より完璧に自信をもった商品でも人は来ません。
最初に開店したときは3ヶ月から半年は人が来てくれます。それは好奇心であり、興味本位であり、人脈であることがほとんどです。しかしどれだけ仲の良い人でも、ちょくちょく来てくれる訳ではありません。同じようなサービスが数千あるなかで埋もれていきます。
上場企業が経営しているレストランでも、年に数回メニューチェンジを行い、ありとあらゆるPR手法で宣伝して初めて客を繋いでいる現実です。
そこで大切なのは「忘れられないこと」です。

では、忘れないコツは何でしょうか。
味、サービス、店のデザイン、メニュー すべて違います。

それは、人とのコミュニケーションです。それが何気ない会話であり、ありがとうの一言であり、気さくな会話です。
人間は生き物です。記憶したことはいずれ忘れます。それは原理で変えることができません。
しかし、自分にとって「生きる」ための関係性に利点を見出せる人やサービスは記憶に残るものです。そのなかでのコミュニケーションは忘れない記憶として選別されます。
コミュニケーションとは一方的に畳み掛けるものではありません。相手の状況を汲み取りながら相互に情報を伝え合う作業です。そのコミュニケーションに価値がなければお互いに離れていきます。

今、お店で配膳ロボットやタッチパネルの導入によりオペレーションが効率化されています。一時的に人件費の削減により経営状況は改善させるかもしれません。しかし、人とのコミュニケーションが亡くなった時に「あれ?」何か違うぞ、と感じる人も多いのではないでしょうか。

サービスとは生物です。50対50の与え与えられる関係性を保ち、効率性だけに目をむけず、人との対話を重視して成り立つものと考えます。

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