看板を出さない店

先日、旧友のお花屋さんに立ち寄りました。小学生からの同級生で今でもテニスをしたり飲み会に行ったり付き合いがあります。

彼女は一人で小さなお花屋さんを営んでいます。

お花は生ものなので週に2回、遠方の金沢まで60 km の距離を走り仕入れに行きます。

一人で仕入れして一人で接客して一人でお店番をして配達をするのは結構大変な労力が必要です。

そんな彼女に、私は人を増やしたり宣伝をしたりして、売上を増やしたらどう?、そういったアドバイスをしたことがあります。

「そんなんせんでもいいや」と彼女。

お店は自宅の一部を小さく改修した、飾り気のない店舗です。あるのは、お花と猫と彼女のみ。

そして看板はありません。

私も育ったこの加賀市大聖寺という街は人口一万人を切る小さな町です。

メディアがなくてもほぼ顔と名前が口コミで知れ渡っている街でもあります。いわば大きな家族のような関係です。

悪いことはできません。

街にはおせっかいなおばちゃんやおじちゃんがたくさんいます。また批判したり注意したりほめたりといったそういった一歩踏み込んだ関係が日常茶飯時です。

田舎へ行くとそのような関係が面倒くさいしがらみが多くて生きづらいと言う人も多いと思います。

けど、そういったことが実は暮らしの中で大切なのだなあと思うことがあります。

一人で誰とも話さない暮らし、それは自由なようで結構寂しいものだと思います。

この大聖寺の「花てまり」という小さなお花屋さんは、おばちゃんの立ち話を1時間きき、街の情報を共有し、時には人を励ますことのできる小さなこころの市役所だと思います。

商売とは利益を上げるためにすることではありますが、人のこころを幸せにしたり豊かにすることが、目に見えない役割として必要かもしれません。

ひたすら売上を上げたり事業を拡張したりするそのための PR を行なってきた自分にとってはそれが全ての業態の目的ではないと感じられます。

そんなことを、いつも原点に帰って考えさせられる、そんな店です。

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