AIについては過去に土曜デザインでも石川高専の越野先生を招き、勉強会をさせていただきました。AIが社会に何をしてくれるか、その効果は?。人の仕事がなくなるのではないか?。ただAIは人を超えることはない。その未来は不安と期待で計り知れないものがあります。
インターネットが情報を水平展開して世界をあまねく平等にしていく過程と同じように、垂直方向つまり時間軸を短縮していくものと考えられます。今まで人が汗をかいてノウハウを蓄積したり伝承してきた知識が一瞬にしてデータ化されて、最も効率的に事を運ぶようになる社会。人の失敗がなくなる社会。
また、最近は貨幣がキャッシュレスになり、単なる情報のやりとりになったこととこのAI化は似ていて、効率化の裏側には人の仕事(無駄をなくす意味)が確実になくなっているものと捉えています。それも、ものすごいスピードで人の仕事がなくなっていく。AIを操る人が0.1%ほど残り、その他の人は負け組になるというイメージ。おそらくこの先はお金を稼ぐという概念すらなくなり、多様なネットワークで役割をエクスチェンジ(交換)するだけになってくるのではないでしょうか。その時に人の生きがいとは何になるのでしょう。
最近、九谷焼や加賀友禅の伝統工芸の業界の話を聞くことがありました。こういった工芸は後継者がおらずまた職業としての存在も大変危ういものとなっています。生活様式が変わったということも当然ありますが、私は違った見方をしています。百貨店やバイヤーの売り上げ主義が作家の感性や個性を奪ってきたということも一因ではなかと考えます。つまり売れるものしか作らない、作ることができない環境です。クリエーターたる人の才能が早い段階で積まれてしまうのです。
色々と古い資料を調べるにつけ、九谷焼も加賀友禅も、昔の作品の方が個性的であったように感じました。現在の九谷五彩や加賀五彩というものは商業化の流れの中で作られ、同時に作家を固定概念の中で閉じ込めてきたのではないかと思うのです。私もものづくりのはしくれとして危機感を感じます。
つまりIT化は商業化=効率化の流れの中で、人として大切なものを失っているのではないか。この流れにもはや争うことはできませんが、一度立ち止まって皆さんも自分というものを見つめ直してもよいと思います。