デザインという仕事をしてると、年に何回かはトラブルになることがあります。それはお客様にとって気に入らない、意図しないデザインとなるクレームになることです。思っていたものにならなかった、あるいはピンと来なかった、そういったものです。
この件に関してはフルカスタマイズの仕事であるから どうしても発生することではあります。会社としてはどのように対応していけば良いのか、スタッフと話し合いました。
お客様の中には大きく3つに分かれます。1番目は全てを任せるタイプ。 2番目は相談しながら、解決策を見つけるタイプ。3番目はお客様が自身の好きなように理想を叶えたいタイプです。
1番目に関しては弊社の30年に渡る経験値や商業ベースのロジックで作る方法。その先のお客様が理解しやすかったり、記憶にとどめやすい、形や色に対する理論。図形に対しての再現性や使いやすさ、あるいは競合他社に対しての差別化 、長期にわたるブランドロイヤルティ(優位性)を担保する方法です。客観的な視点で制作します。
2番目に関しては、弊社の提案を元に、クライアントの意向を反映しつつ制作していく手法です。これは、ロジックを基本としながらも、クライアントの要望を入れ、調整していくことで目的に近づけていく協業方法です。互いの経験値で良いものができる可能性があります。客観から入り主観を入れます。
3番目はクライアントがイメージとして持っている理想やスタイルというものに合わせていく手法です。これはデザインというものがなかなか言葉で伝えることができないので、その人の価値観を弊社が推察しながら形にしていくという作業になります。答えが無くデリケートな領域で時間を要します。主観を尊重します。
デザインはこのように、同じように見えても手法や対応が異なる仕事です。社内のミーティングではトラブルにならないように仕事の着手前に、どの手法にするのか選んでいただくのが良いのではないかという話になりました。
経験値としては、大きな会社ほど1番になる傾向があり、中堅企業や協同組合などは2番、個人事業は3番になることが多いです。どれがいいというわけではありません。それぞれの市場での戦い方があるからです。大きな会社は市場が大きく緻密なマーケティングが求められます。その運用体制も整っています。しかし規模が小さい場合はオーナーの動物的なカンや生き抜く為のゲリラ的な発想が要求される場合があるからです。
うちの会社もスタッフは少ないですが、このように対応を色々相談しながらやっていくことが大切だと考えています。一定の形のないような仕事であることからベストな方法を探っていきたいと考えています。