新卒社員が1年足らずで辞めてしまう理由は、単一ではなく「期待のズレ」と「受け入れ側の設計不足」が重なって起きることがほとんどだそうです。実務や現場を多く見てきた立場から、代表的な理由を整理します。
① 入社前のイメージと現実のギャップ
最も多い原因です。
- 「やりがいのある仕事」と聞いていたが、実際は雑務が多い
- クリエイティブ・企画職だと思っていたが、指示待ち作業が中心
- 成長できると思っていたが、何を学んでいるのかわからない
SNS・就活サイトで理想が膨らみすぎていることも背景にあります。
② 教育・フォロー体制が弱い
新卒は「仕事ができない」のではなく、やり方がわからないだけです。
- 教える人によって言うことが違う
- 忙しくて放置される
- 失敗すると叱られるが、成功しても評価されない
結果として
「自分はここに必要とされていないのでは」
という不安が大きくなります。
③ 人間関係・心理的安全性の欠如
辞める理由として本人は言いにくいですが、かなり多い要因です。
- 相談できる先輩がいない
- ミスを責められる空気
- 雑談や雑感を話せない職場
特にZ世代は
**「怒られないこと」より「安心して話せること」**を重視します。
④ 成長実感が得られない
若手は給与よりも
- 「昨日よりできることが増えたか」
- 「自分の価値が高まっているか」
を気にしています。
成長の**見える化(言語化・小さな評価)**がないと、 「ここにいても意味がない」と判断されやすいです。
⑤ 仕事量・責任のバランスが極端
- 仕事を任されなさすぎて暇
- 逆に、いきなり責任を背負わされすぎる
どちらも「逃げたくなる」原因になります。
⑥ 今の若手特有の価値観
今の新卒は、
- 無理して会社に合わせない
- 「合わない」と思ったら早めに動く
- 転職を「失敗」と思っていない
という前提で動いています。
我慢=美徳という価値観は、もはや共有されていません。
では、どうすれば防げるか?
重要なのは「待遇」よりも次の3つです。
① 最初の3ヶ月の設計
- 何を覚えるか
- 誰に聞けばいいか
- どこまでできれば合格か
を明文化するだけで離職率は下がります。
② 週1回の短い1on1
10分でいいので
「困っていること」「不安」を言語化させる場をつくる。
③ 「期待している」を言葉にする
若手は察してくれません。
「期待している」「助かっている」は必ず言語化が必要です。
では コミュニケーションデザインではどのような施策が考えられるか。
それはリクルーティング時のインフォメーションが現実に即していることだと思います。また 採用試験というよりは互いの理解の深まる期間を長めにする仕組みが必要です。
それがインターンであり事前の交流会かもしれません。特に リクルートの採用条件はありきたりな演出のあるものではなく 等身大の社員の人柄がわかるものです。台本に書いたような美しい コメントではなく 時には現場の辛いことや、やめたいと思ったことなどの生の声を届けることは大事です。
あと会社の代表者の理念やポリシーといったものはとても大事だと思います。何のために仕事をしているのかという原理的な思想や本人自身のやりがいについて素直に語ることも大事だと思います。
小手先の表現では心に伝わらないかもしれません。
